以前からネットでのアニメの評価で「爆死」という表現を見かけます。

先日、とある魔術の禁書目録(インデックス)3を観終えた後、特に関係の無いまとめサイトの記事を見ていたら、その中に「禁書3爆死」という表現がありました。(実際はそこそこ売れているという情報もあるのですが…)
文脈から、禁書3期は失敗であるという評価である事は明白でしたが、それがイコール面白くなかったという事とは認識できませんでした。

以前から、Blu-ray/DVDの1巻の売り上げ状況から、「爆死」という表現は使われています。
確かに円盤の売り上げのみをみたら、大量の制作費がかけられたアニメにしては、直接資金回収の手段である売り上げが低ければ「爆死」に見えるかもしれません。

でも、本当に「爆死」=「失敗作」なのでしょうか?
禁書3は、3期という事なので当然1期、2期があります。
1期は2008~2009年に放送されました。実に11年も前の作品です。2期は2010~2011年、それぞれ2クールでの放送です。1期1話放送からすると、実に10年以上前の作品の続編という事になりました。

似たような流れの作品として、同じ電撃文庫系の灼眼のシャナがありますね。こちらも2期と3期の間には3年の間隔があります。他にもシリーズ間で数年またいだものはありますが、禁書3は特に長いという印象があります。

当然、1期2期の頃に視聴していた方々の内、大半は成長しアニメ自体を見なくなっている人も多いでしょう。逆に、3期をいきなり見せられても、膨大な登場人物を把握しきれるとは思えません。
そういう状況下で、3期単体での評価を円盤の売り上げ単体が低かったからと言って「爆死」と切り捨てるのは妥当なのでしょうか?

禁書3は2までの登場人物や、新たな敵などが登場し、舞台が学園都市ではなく世界に広がって行きます。展開としてはかなり急激ではありますが、これは原作がそうなのだから仕方がありません。
一方通行は完全に天使になっちゃうし、正直3期だけ観てわかるような内容じゃない。1期2期を観ていた人でもついていけたかどうか。かろうじてついていけるのは恐らく原作、しかもある程度新約まで読みこんだ人でしょう。
そんな中でも、堕天使エロメイドねーちんや、チラメイド五和などがしっかりと描写されていた事は評価できると思います。
vlcsnap-2019-04-21-22h11m25s343

強引に閑話休題。
アニメ1、2期を観ていた人であってもついてこれないような作品です。それで円盤の売り上げが芳しい結果がでると思うでしょうか?それでなくとも、ファンは録画しておけば地デジの恩恵で十分な画質でいつでも再生する事が可能です。わざわざ円盤買ってまでとは思わないでしょう。それでも3期は放映されました。恐らく最初から「爆死」前提だったのではないでしょうか。

いわゆる3期は、原作小説の「無印」の最終巻までが描かれています。
つまり「きちんと区切りをつけた」という事だと理解しています。そう、1期2期を観てくれていたファンに、物語の最後までを届けたかったという事です。それは円盤の売り上げなどはそこまで重視していなかったのではないか?という推測もできます。
原作は新約が無印を越えて発刊され続けています。物語も当麻を中心に、禁書3最終話にでてきた、レイヴィニアや、オッレルスなどとこれまた様々な事件を解決しながら、「神上」や「右手」の謎について探っていきます。(自分は新約10巻くらいで止まっているので、その先は良くわかりませんが)

2019年7月からは、スピンオフである「とある科学の一方通行(アクセラレータ)」が放送されます。その先の展開は不明ですが、最終話に新キャラ(新約のキャラ)を出してきているので、新約も引き続きアニメ化する予定があるのかもしれません。

そういう流れから見ると、円盤の売り上げが少なかったからと言って、プロジェクト全体の流れを阻害するようなものでは無いのだと思います。スピンオフや原作が売れていれば、アニメ制作分がペイできるという判断があるのかもしれません。

そう考えると「爆死」と言う評価で禁書3というアニメを切って捨てるのは尚早ではないか?と思います。

もう一つ、現在一部で話題の「ケムリクサ」と「けものフレンズ2」です。
前者は非常に評判も良く円盤の売り上げも上々だったようです。一方のけもフレ2は良く言って酷評、とにかく散々な言われようでした。

その二つの作品も観てみました。
ケムリクサは、けものフレンズ(1期)の監督であるたつきさんが原作、構成、監督を務めた作品です。
正直、たつきさんへの過剰な期待から、ブーストされて作品本来以上の評価なのでは?という先入観を持ちながら観始めました。しかし…。
vlcsnap-2019-04-12-20h03m20s371
1話でのりんのこの表情でそういう余計な情報はすっ飛びました

可愛ければいいじゃない!

でも、物語自体は良く伏線が貼られており、その伏線とかの回収も丁寧で必要な情報(各キャラの口調の差など)はさらっと開示し、一方で尺にあわない不用な情報はあえて切って捨て(若葉の正体とか)、最後も希望を持てるハッピーエンドでした。
vlcsnap-2019-04-14-18h01m34s315
トータルで観て、控えめに言って秀作、大げさに言って佳作、名作なのは間違いないでしょう。実際面白かった。凄く引き込まれた作品です。たつき監督は、けもフレ1期を一人で纏め上げた構想力、構成力は非凡なものではなく、確かに天才なのだろうと思いました。きっと劇場版などの尺の短い作品でも、2クール作品でもそれに合った構成をするんだろうと思いました。

続いて酷評だったけもフレ2を観ました。
最後まで観た感想は…。
vlcsnap-2019-04-15-23h07m43s644
あれ?結構面白かったけど?

でした。

酷評の一部は、たつき監督が作ったやさしい世界を全て否定している…とか、そんな感じのものが目立った気がしますが、自分としては悪く言って駄作、良く言って普通、そんな感じであって、決して酷評に値するような作品ではありませんでした。
サーバルちゃんが記憶を失った理由や、大人になったかばんちゃんの憂いなどが描かれていない分、消化不良なものはありますが、逆にこの部分がいつか説明される機会があるのでは?という期待を抱かせるような作りだった気がします。
たつき監督への過度な思いいれ、現行けもフレ製作サイドへの過度な反発さえなければ、十分に楽しめる作品だったと思うのですが、ちまたで横行する「酷評」はこのけもフレ2への純粋な評価を吹き飛ばしてしまっています。
しかしながら、この「けものフレンズ」という一連の作品は、対象が大人ではなく小中学生に定められている気がします。けもフレ2自体は、けもフレ1へのアンサーとして深夜で放送しましたが、実際は夕方くらいにやりたいアニメなんじゃないかと思います。様々な描写やアイキャッチの動物図鑑など(前作から引き続きですが)も、それを想起させます。
けもフレ1のストーリーそのものは、正直にいって特に面白かったわけではありません。悪く言って駄作、良く言って凡作という感じです。しかし、たつき監督が一人であそこまでの完成度を持って仕上げたという部分で大幅にブーストされた作品だと思います。
ポプテピピックが声優や様々な奇策で大幅にブーストされたのと似た印象です。
けもフレ1も2もストーリー自体で言えば、子供向けに考えれば十分及第点。絵の作りで言えば明らかに2の方が上。1に対するリスペクトもちゃんとあるし、次への期待も考慮すれば1も2も同等。ここまで酷評する意味がわかりません。
(一方で、スタッフがやった事が全て真実であるなら、スタッフへの評価は最低にすべきです。があくまで現状では疑惑でしか無い以上考えても意味は無く、そうであっても作品自体には影響ない)

今回取り上げた「爆死」という表現も、けもフレ2騒動も、正直一部の人達が言っているに過ぎません。しかし、悪貨は良貨を駆逐するではありませんが、好評価よりも悪評価の方が目立つのです。
いいと思っても、わざわざネットに書き込む場所を探してまでも褒めたりしない人が多いのですが、悪口に関しては書き込む場所が無ければ作ってでもします。そうなると、いい評判よりも悪い評判の方が目に入り易くなるのは当然です。

いくら優れた作品、面白い作品でも事前に悪い評判が目に入ってしまうと、わざわざ観ないですよね?それでなくとも今はアニメが溢れています。まず観たい作品から観て、そうでも無い作品は評価などに左右される事も多いと思います。

となると、一部のファンが「爆死」などの酷評を繰り返す事で、その作品を視聴する機会を奪ってしまっているとは言えないでしょうか。そうなると、本当に円盤や関連商品の売り上げも落ちて行き、アニメの製作がますます厳しい状況に陥ってはしまわないでしょうか。

禁書3のケースでも述べましたが、円盤の売り上げは確かに重要な人気を計る指針の一つだと思います。しかし、作品の人気はそれだけで語る事はできません。観た結果「つまらなかった」「面白くなかった」という感想はいいと思いますが、ろくに見もせずに売り上げだけを見て「爆死」などと評価するのは、アニメファン自らの首を絞める事にもなりかねないので、控えた方がいいのではないでしょうか。

これはあくまでも、私個人の主観に基づいた批判です。的外れなものもあるかもしれません。その点はどうぞご寛恕くださいますよう。


にほんブログ村 アニメブログへ
ブログランキングにほんブログ村